園田の蝶
緑部会では「園田の蝶」と題したコラムにより、この地域に生息する蝶を皆さんに紹介していきます
(生活史はウィキペディア参考)
担当:新貝
園田の蝶 no.1 (コムラサキ)
園田の蝶 no.2 (ツマグロヒョウモン)
園田の蝶 no.3 (テングチョウ)
園田の蝶 no.4 (アオスジアゲハ)
園田の蝶 no.5 (ウラギンシジミ)
園田の蝶 no.6 (モンシロチョウ)
園田の蝶 no.7 (ゴマダラチョウ)
園田の蝶 no.8 (クロコノマチョウ)
園田の蝶 no.9 (ホシミスジ)
園田の蝶 no.10(キタテハ)
園田の蝶 no.11(アゲハチョウ)
園田の蝶 no.12(モンキチョウ)
園田の蝶 no.13(ナガサキアゲハ)
園田の蝶 no.14(ムラサキシジミ)
園田の蝶 no.15(ヤマトシジミ)
筆者にとって、幼い頃の記憶としての最初の蝶である。
ムラサキカタバミの茎の芯をむき、二つを絡ませて引っ張り合いをする遊びと一緒に、飛び去るでもなく翅を動かす小さな蝶の姿を思い出す。
ヤマトと日本を代表する名前を貰っている通り、一番身近な蝶であろう。
雄の翅の表は明るいブルーだが、雌は黒っぽくくすんだ色が多い。
幼虫は人家の周辺でよく見かける黄色い花を咲かせるカタバミを食草とする。(ムラサキカタバミは好まないらしい)
あ、ムラサキシジミだ!!
10月14日第3回猪名川自然林サポータクラブの活動で、自然林内を案内していた時、太陽光線を反射した金属光沢の美しいブルーの蝶を1m以内で観察できた。
カシ木の地面近くに羽を閉じて止まるため木の葉と区別が付き難く、時々しか出会えない蝶である。
地球に降りた宇宙船ムラサキシジミ号が、ソーラーパネルを広げ充電している状態のように目に映った。
食草はアラカシなどのブナ科の常緑樹。成虫で越冬する。(2008年1月)(担当:三好)
郷里と同じ名前を持つこの蝶を初めて見たのは、つい10年程前である。
虫を追いかけていた頃には一度もお目にかかったことが無く、珍しい蝶だと思い込んでいたため、ちょっと感動したが、この一、二年でクロアゲハよりも多くなり、白い紋を持つ雌をモンキアゲハと期待するほど、普通種になってしまった。
食草はミカン科の植物で、栽培種を好んで食べるらしい。
通常尾状突起は無いが、稀に雌に尾の付いた固体が現れる。
蛹で越冬する。(2007年10月)
日本全国どこででも見かけることが出来る蝶である。
雄の翅の色は黄色型のみであるが、雌の翅の色は黄色型と白色型がある。
ぼんやりした模様の弱々しげなモンシロチョウよりも、くっきりした模様を持つ、白色型のたくましげなモンキチョウのほうが、いかにも「モンシロチョウ」らしいと思うのは、筆者だけであろうか。
食草はマメ科の植物である。
サナギで越冬するモンシロチョウと異なり、幼虫で冬を越す。(2007年7月)
金刀比羅宮の奥書院には、若冲の「花丸図」などとともに、愛蝶家にとって幻の資料といわれる岸岱の「群蝶図」が描かれている。
一昨年、なんと125年ぶりに一般公開されたので、押っ取り刀で拝観に行ったのだが、そのすばらしい絵の中で、アゲハチョウは最も目立つところで舞っていた。
昔も今もポピュラーな蝶らしい。
平地に多く、3月下旬から10月頃まで姿を見ることが出来る。
食樹はミカンの仲間で、蛹で越冬する(2007年1月1日)
猪名川の河川敷に下りてみると、あちこちでキタテハを見ることが出来る。
つい一週間前は、ほとんどが丸みを帯びた翅を持つ夏型であったのに、今日は半分以上がギザギザの鋭い翅を持つ秋型に変わっていた。
季節は間違いなく進んでいるらしい。
食草は河川敷に繁茂している鋭いとげを持つカナムグラなどである。
昼間はのんびりと日向ぼっこをしているが、夕方ともなると、これが同じ蝶かと思うぐらい、せわしなく飛び回っている。(2006年10月1日)
あれっ、コミスジじゃない。
標本を作る為に展翅にはじめて気が付いた。
スーイ、スーイと滑空するミスジチョウの仲間では、普通種=コミスジという先入観があり、少々迂闊だった。
そういえば、猪名川公園やその周辺にはユキヤナギがたくさん植えられている。
後日、近所の昆虫少女マナちゃんに「ホシミスジの食草はユキヤナギ」と説明したら、「猪名川公園にたくさんあるよ。だから、この蝶が多いんだね。」。
頼もしい小学生である。(2006年7月1日)
ちょっと無気味な蝶である。
薄暗い林の中で、突然足元から飛び立たれると、むこうさんも驚いたのだろうが、こちらもびっくりしてしまう。
暗い所を好むようで、佐璞丘にはかなりの数生息しているが、明るい猪名川公園ではめったにお目にかからない。
もっとも、薄暗くなってから活動を始めるので、目に付かないだけかも知れないが。
食草はイネ科の植物で、ススキやジュズダマなどである。
成虫は吸蜜ではなく、樹液や腐った果実の汁を吸う。(2005年11月1日)
猪名川自然林には、エノキの大木が多いお陰で、都会としては珍しくタマムシが豊産する。
そして、エノキが食樹のゴマダラチョウもいまだ健在である。
が、樹液を出すアキニレの木がいつの間にか切られてしまっていることがあり、少し心配ではある。
樹液を吸っている時はかなり無防備なチョウで、簡単に素手で捕まえることが出来る。
カナブンやスズメバチ等と仲良く樹液を吸う姿を、いつまでも自然林に残したいものだ。(2005年8月1日)
最もポピュラーな蝶といえば、アゲハチョウか本種であろう。
フワフワと白い翅が河川敷の原っぱを飛び交い始めると、春が来たことを実感する人も多い筈だ。
しかし残念ながら、童謡のようにサクラの花に集まることはないようだ。
食草はアブラナ科で、河川敷のセイヨウカラシナもその一つだが、荒れたキャベツ畑のように、チョウが湧いて来るようなことは無い。
天敵によるものなのか、それともその辛味で敬遠されているのだろうか。(2005年5月1日)
いつものように、自然林で虫を追っていた目の端に、ちらと白い紙が風に巻き上げられるのが見えた。
まさかと思いつつそちらを見上げると、突然白い蝶が舞い降りて来た。
やはり名前の通り翅の裏が銀色の蝶、ウラギンシジミであった。
一度見たら忘れられない翅の白さに目を奪われがちだが、雄の広げた翅の赤も美しい。
食草はフジやクズなどのマメ科で、その花,実,新芽などを食す。
しかし何故だか、カシなどの常緑樹の周りを好んで飛んでいる。(2004年11月1日)
くすのきが食樹の為か、くすの大木が多い猪名川公園あたりでは最も目に付く蝶である。
学生の頃ネット振りの練習台にしたこともあるこの蝶は、大人でも飛翔中に捕らえるのは至難の業である。
しかし、よく花を訪れるので採集し易い蝶でもある。
名前の由来である青い筋には鱗粉が無く翅の地肌の色が模様となっている。
その生命力にあふれた飛翔と涼しげな姿は、いかにも夏の似合う蝶である。(2004年8月1日)
田能名産のサトイモ栽培のために馬糞や油粕の施肥作業を行った田圃の隅で、地味な翅を持つ小型の蝶が日向ぼっこをしていた。
生意気にも縄張りを持っているらしく、時々他の蝶を追ってはまたもとの場所に戻ってくる。
如何にも気の強そうなとがった顔をしたその蝶は、顔の形からテングというりっぱな名前を頂戴していた。
冬眠だけでなく夏眠もするという少々風変わりな蝶であるが、榎が食草のため、園田地区には割と多く生息している。(2004年5月1日)
園田に土着しているのか、移動して来るのか不明だが、夏の盛りが過ぎ、他の蝶が少なくなる頃から目立ってくる。
雌は名前の通り上翅の角が黒っぽく、雌雄の区別がつけ易いヒョウモンである。
知命の会員によると、子供の頃は憧れの蝶で、めったに見ることが出来なかったとのこと。
筆者の生まれた九州では、がっかりするほどの普通種で、同じ蝶に対する思いの差を面白く感じられる。
年々生息地を北へ延ばしているらしく、これも温暖化現象によるものであろう。(2004年2月1日)
追記 耐寒性のスミレの普及が原因ではないかとの意見もある(2006年11月3日)
『河川敷の樹木に集まる昆虫の調査をしたいのですが』という誘いにのり、猪名川の中洲に下りてみた。
何気なく近づいた若い柳の木の周りを、ちょっとオオムラサキに似た、美しい紫色の翅を持つ小ぶりの蝶が舞っていた。
コムラサキである。
雄の方が美しい蝶の代表だが、見る角度により青紫が雌と同じこげ茶色にも変化する。
山の蝶というイメージが強いこの蝶は、柳があれば平地にも下りてくる。
きっと、昆虫にとって河川敷に散在する樹木達は、都会と山とをつなぐオアシスなのだ。(2003年11月1日)